図1に折れ線近似回路を示します。 この回路で肝なのがツェナーダイオードと直列に抵抗をつないでいるところです。ツェナーダイオードは、ツェナー電圧に達すると、電流が流れます。つまり、“ある電圧に達するとスイッチが閉じる回路”とみなすことが出来ます。小信号用のダイオードを別名スイッチングダイオードと呼ばれるゆえんはここにあります。 すなわち図1の回路は、ツェナー電圧が入力電圧より小さい時は入力電圧がそのまま出力され、逆に入力電圧が大きい場合はR2/(R1+R2)倍された電圧が出力されるというわけです。これを数式で表すと以下のようになります。
(1)この仕組みを、反転増幅回路で応用してみます。 Rs側に入れれば、入力電圧が大きくなるにつれて増幅率は増加、Rf側に入れれば増幅率が減少させることができます。 図2に応用回路を示します。 今回は汎用性の高いこちらの回路で製作します。
折れ線近似回路があれば、どんな関数の近似曲線を得ることができます。そのために、関数の接線を引いて、外形を描いていきます。
グラフを鉛筆で描いて、接線を人力で求めるのもありかと思いますが、道具は賢く有効活用しないともったいないです!。関数の接線を求める方法として関数を微分します。微分は関数のある点に対する接線の傾きを求める事ができます。傾きが分って、ある点の座標が分かってるなら、直線の方程式y=ax+bを求めるのはお茶の子さいさいですよね?(威圧)。 点P(a,b)における関数f(x)の接線を求める方程式は次のとおりです。
(2)ある点P(a,b)におけるの接線の方程式を求めます。f(x)を微分したf'(x)は次のとおりです。
(3)
あとは、先ほどの接線の方程式(式2)に代入すればOKです。 この方法で何本か直線を引いてそれっぽい外形を描いていきます。今回作る折れ線近似回路はダイオードがダイレクトに繋がっているお気楽回路なので、実際折れ曲がる点ではキッチリ折れずに曲線になりキレイになることがあります。これを利用して、求める接線の本数はザックリで構いません。今回は2本引いてみました。
実際、折れ線近似回路で重要になるのは各接線の傾き(増幅率)と折れ曲がる点のx座標です。折れ曲がる点のx座標がツェナーダイオードの電圧となります。 そこで、求めた2本の接線の方程式の交点を求めます。 これもグラフを実際に描いて求めずとも、連立方程式を解けば交点の座標をバシッと求められます。 2つの接線の方程式を満たす(x,y)を解けばいいのです。
今回作る特性グラフを図3に示します。今回は2本、x=0.1とx=0.8の時の接線を引きました。
「道具はなんでも有効活用」の宣言通り、今までの接線の方程式を求めるシートと連立方程式を求めるシートを作りました。
連立方程式は求めた接線の方程式の傾きと切片を入力すると交点の座標が解けるように作りました。
ただし、グラフを自動で描くようにはなっていませんので、そのあたりは各自で描いてくださいw(私の場合はgnuplotで描きました)。
実際に製作した折れ線近似回路の回路図を図4に示します。
うまくいくとは思ってもいないので半固定抵抗を使って微調整できるようにします。 (結局ボリュームでいじるなら今までの計算いらねぇだろ!っていうツッコミはなしでww。当てずっぽうで作るよりはマシですから・・・)
実際に測定した数値を正規化した図5に示します。どうも低い入力電圧の時は波形が荒ぶっているように見えますが、これは手作り正弦波発振器と全波整流回路を使ったのが原因かもしれませんww(特性が0V付近が曲がっていたため)。それにしてもキレイに特性を得ることが出来ました。
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